親子で楽しく学べる環境絵本『きみにはなにができるかな』の作品への想いと絵本の魅力|KoKeBee

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AIY Australia Pty.Ltd.が運営する「KoKeBee(こけびー)」が、2023年7月11日にプロのイラストレーターと一般の子どもたちとの共作による環境絵本『きみにはなにができるかな』を三恵社より発売しました。

そこで今回は、『きみにはなにができるかな』の制作背景や親子で環境問題について楽しく学べるよう工夫されたポイントについて、共同代表の遠藤明日香さんとバトラー佳子に取材させていただきました。

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遠藤明日香(えんどうあすか)

10代の頃からダンスをはじめその後ダンサーとして世界を転々として活動していた。

30代に入りヨガの講師をしたり、サウンドヒーリングなども現在はおこなっており、常に身体とマインドを意識した活動をしている。オーストラリア在住歴は約13年で二児の母。2016年にKoKeBee創業する。

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バトラー佳子(バトラーよしこ)

日本と豪州の両国にて出版社の編集者として経験を積んだ後、Central Queensland UniversityでMBAを取得。その後、米系通信社の金融部門へ転職。KoKeBeeのコンセプトや循環型社会の実現を志す世界観に共感し、2019年よりAIY Australia PTY LTD.の代表に就任。創業メンバーに加わり共同経営者としてKoKeBee事業の運営に参画する。プライベートでは2020年に長女を出産。一児の母。

『きみにはなにができるかな』の概要

「きみになにができるかな」の表紙
©AIY Australia Pty. Ltd. 『きみにはなにができるかな』(作・KoKeBee 絵 佐々木なほみ / 三恵社)

作者作:KoKeBee 絵:佐々木なほみ
発行株式会社三恵社
発売日2023年7月11日(火)
価格2,530円(税込)

『きみにはなにができるかな』

『きみにはなにができるかな』を制作したKoKeBeeの活動

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

遠藤様、バトラー様はどういった経緯で共同経営されているのでしょうか。

お二人の出会いやKoKeBeeの活動についてお伺いできればと思います。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

遠藤明日香と前創業者である楳村、阿部の3人で2016年にKoKeBee(こけびー)が始まりました。

バトラー佳子は2019年より新たに参入し、現在は二人で運営をしています。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

創業の3名はヨガの講師と生徒という関係で初めはありましたが、徐々に仲間として交流するようになりました。内、楳村が自身のアトピーを通してプラスチックを使わない生活を取り入れており、その流れでオーストラリアで徐々に広がりつつあったみつろうエコラップに興味を持ちました。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

初めは実験的に試行錯誤しながらみつろうラップを自分達で作ってみましたが、とてもいい配合のものが出来たので販売に踏み切りました。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

私たちは、素材や生産者さんたちの思いにもこだわっているので、そういった背景や使う意味、プラスチック問題についてもっと広げていきたいということで、みつろうラップを手づくりできるワークショップを作り講師育成など啓蒙活動にシフトチェンジしていきました。

エコラップの写真
遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

バトラーとはたまたま2011年と同じ時期にオーストラリアに来豪し友人の紹介で友達になりました。

お互いにオーストラリアで生活するうちにナチュラルな生活を取り入れるようになり、いつしかエコなことだけでなく、精神世界のことやエネルギーの話など、他の人には出来ないような話もできるような仲になり、阿部がKoKeBeeから抜けた後に是非一緒に活動してほしいということで一緒に運営をするようになりました。

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

KoKeBeeではエコラップの販売やワークショップや講師育成を通してプラスチック問題の啓蒙活動をされていて、バトラー様とはオーストラリアで出会い、意気投合して共同経営されるようになったのですね。

『きみにはなにができるかな』の制作背景と作品への想い

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

2023年7月に出版された『きみにはなにができるかな』はどんな絵本か教えてください。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

本作は、たくさんの方々のご協力を得てみんなで作り上げた、「読者参加型の環境絵本」です。

プロのイラストレーター・ささきなほみさんに依頼して描いていただいた⽔彩背景画に、一般のお子さんたちから公募して集めたイラストを配置して、アーティストと子どもたちのコラボレーションを実現させました。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

⼦どもたちがのびのびと⾃由な発想で描いたユニークなキャラクターと、なほみさんの描くやさしくファンタジーな世界観が見事に紙面で融合していて、これまでにない⼀冊となっています。

実際にこのようなお子さんの絵本とのコラボで作られた環境絵本は、世界初の試みなんです(※KoKeBee調べ)。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

環境問題について楽しく学べるだけでなく、グローバルな視点で環境問題への意識を⾼め、⾃ら考え⾏動する⼒をつけていただくことができます。

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

環境問題について学べるという絵本は初めて知りました。

どういった経緯で絵本を制作されたのでしょうか。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

「みつろうエコラップの手づくりをきっかけに、環境問題について学ぶ」というコンセプトで開催している私たちのワークショップ。これは当初、大人向けとして作られたものでした。

しかし、「子どもも一緒に参加できるものはないんですか?」というお問合せが多かったことから、低学年の子でもわかりやすい絵やクイズなどをふんだんに入れた子ども用のワークショップを作ることとなりました。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

そのほかにも次世代を意識した活動をしていく中で、子どもたちがこうした情報にどのように触れるべきなのかを、改めて考えるようになっていました。

環境問題にまつわるニュースに触れたり、調べものをしていると、その事実や報道のされ方に、大人の私たちでさえ不安にさせられてしまうことが多々あります。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

同じニュースを、子どもたちの心はどのように受け止めているのか。そんなことを考えてやるせないような気持ちになった時、ぜひ彼らの「知る権利」や「明るい未来への希望を持つ権利」を守りたい。そのために、私たちにもできることがあるならぜひ行動を起こしたい!と思ったのです。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

小さい頃の記憶がその後の人生に与える大きさ、そしてオーストラリアの教育のいいところ(自分で考えさせる、そしてそれを実行する)を盛り込んだ絵本を作れば日本のもっと小さな子どもたちにも世界の状況を知り、考えてくれるよい機会になるし、親子で一緒にそういうものを見たり感じたりする時間が財産になると考え絵本作成に踏み切りました。

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

ワークショップの参加者からのリクエストで子どもたちが楽しく環境について学べるワークショップを開くようになり、さらに小さい子どもたちが環境問題について触れ、考える機会を提供したいという想いから絵本の制作をされたのですね。

『きみにはなにができるかな』の魅力と工夫したポイント

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

親子で環境問題を身近に知って考えるために、どんなことを工夫されたのでしょうか。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

まず、伝え方に気を付けました。未来を担う子どもたちが不安や絶望に襲われてしまうような予測やニュアンスは徹底的に排除して、客観的に現状の問題までをあるがままに伝えています。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

次に絵本の構成としては、一方的に事実を伝えるような一方方向の情報提供ではなく、読み手が「自分ならどうするか」「自分には何ができるのか」を考えるための「間」もとってあります。さらに、それぞれの考えをアウトプットするまでを推奨するようにしました。

「きみになにができるかな」のページ
©AIY Australia Pty. Ltd. 『きみにはなにができるかな』(作・KoKeBee 絵 佐々木なほみ / 三恵社)
バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

情報を受け取った子どもが自ら何ができるかを考え、一緒に読んだ親御さんやお友達にそれを伝えることで、三方向コミュニケーションが実現されれば、私たちの活動目的(ビジョン)である「循環の輪」をさらに広げることができると思ったのです。

「循環の輪」というのは少々分かりづらいですが、地球上の生きとし生けるすべての命が輝けるように、モノもエネルギーも人々の想いも、すべてがポジティブでサステイナブルな形で循環していけますようにと願いを込めて、そしてそんな世界を目指して、このような言葉を使っています。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

最後に、全体を通してリズミカルな表現であること、子ども目線であることにも、かなり拘りました。絵本を企画制作したメンバーは自身も子どもがいる母親たちがメインでしたので、絵本を読むうえで、「子どもたちは繰り返しが好き」という事実を実感していました。そこで同じ言葉をリピートして読みやすく、子どもの頭に残りやすくなるようにしました。

「きみになにができるかな」のページ
©AIY Australia Pty. Ltd. 『きみにはなにができるかな』(作・KoKeBee 絵 佐々木なほみ / 三恵社)
バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

保護者の方向けの解説ページについては、読了後の親子のコミュニケーションの際に親御さんがお子さんから何か聞かれた時に困らないように、環境問題についてもう少し掘り下げた情報を散りばめてお届けしています。

「きみになにができるかな」の保護者向けの解説ページ
©AIY Australia Pty. Ltd. 『きみにはなにができるかな』(作・KoKeBee 絵 佐々木なほみ / 三恵社)
保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

子どもたちが楽しく読めること、自分で考えることを促すような構成を工夫されているのですね。

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

子どもたちからキャラクターのイラストを公募し、プロのイラストレーターと子どもの作品の共作にしたのはどういった背景があるのでしょうか。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

絵本を作るのにまずイラストレーターさんを探しましたが、こちらは結構すぐに友人の紹介でとてもいい方(佐々木なほみさん)が見つかりました。

なほみさんのやわらかいタッチで全て仕上げてもらうことも可能でしたが、大人が全て仕上げてしまうことで、大人からの押し付けでは無いですが、少し世界が狭くなってしまうような感覚を覚えました。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

わたしたちは子ども自らが考えてほしい!というところに重きを置いていたので、それならいっそう、子ども自身にも参加してもらおう!ということでクラウドファンディングを行い、100名ほどの子どもたちに絵を描いてもらい、プロのデザイナーさんの柔らかい水彩画にのせて世界初!の子どもと一緒に作った環境絵本が出来上がりました。

遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

初めは子どもたちの力強い、個性の強い絵が届くたびに きゃーすごい!!!って思うかたわら、こんな個性の強い絵が一緒になったらぐちゃぐちゃな仕上がりになってしまうのではないか。。。と最後まで不安もあったのですが、出来上がりをみてその不安が消えました。

子どもたちの絵が載っている「きみになにができるかな」のページ
©AIY Australia Pty. Ltd. 『きみにはなにができるかな』(作・KoKeBee 絵 佐々木なほみ / 三恵社)
遠藤明日香さん
遠藤明日香さん

みんなのエネルギーが一つになって、みんなで世界を作っていくんだよ!というまさに私たちが目指す世界がそこには広がっていました。たくさんの方のご協力の元に出来上がり、関わってくださった全ての方に感謝しております。

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

子どもたちが描いた絵はそれぞれ個性があって、絵本を読む子どもたちにとっても同年代の子たちが描いた絵は親しみやすいですね。

『きみにはなにができるかな』を読んでほしい人

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

最後に、『きみにはなにができるかな』をどんな方におすすめしたいでしょうか。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

老若男女すべての方に読んでいただきたいくらいですが、特にはお子さんの将来環境を心配しながらも、地球環境問題の規模の大きさに圧倒されて何をしたらいいか分からないと悩む親御さんにお手に取っていただきたいです。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

また逆に、環境問題にまったく無関心で何も知らないという親御さんや、都会で生まれ育って環境問題を自分ごととして捉えづらいというようなお子さんにも、ぜひ読んでいただきたいです。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

私たち自身、親としても一個人としても「この先一体どうなるの?」と不安になることはありますが、次世代のために何ができるか、それを考えて実際に動き出すことが何より大切だという想いでこの本の製作にあたってきました。

バトラー佳子さん
バトラー佳子さん

10年後、20年後に、地球環境や子どもたちがどうなるかというさまざまな予測が立てられていますが、それをいい意味で裏切りたい。そのためには、あの時に皆でこれをしたよね、とまずは言えるようになること。そしてそれを言える人が一人でも多く増えることによって、少しずつでも未来の在り方を変えることができると信じています。この絵本が、そのきっかけになったのなら、本当に本当に、それほど嬉しいことはありません。

保育士転職more編集部
保育士転職more編集部

『きみにはなにができるかな』の制作の想いや絵本の魅力について理解が深まりました。

ありがとうございました。

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『きみにはなにができるかな』