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待機児童問題、保育士不足等の報道により保育士の仕事は大変そうといったイメージを持たれている人も多いのではないでしょうか。
実際に保育士として働いている人はどういったことをつらい・大変と思っているのか?
また、逆にどんなことをやりがいとして仕事をしているのでしょうか?
そこで、保育士として勤務経験がある方に向けて「保育士の仕事のつらいこと」「やりがい」についてアンケートを行いました。保育士100名へのアンケート結果をランキング形式で紹介します。
※有識者として保育ライターとして活躍されている仲原さんにアンケート調査結果へコメントもいただきました。
仲原秋穂
神奈川県在住。短大で保育士資格と幼稚園教諭二種免許を取得。八王子市の保育園で8年勤務。0歳児クラスから年長クラスまでまんべんなく担任をし、幼児クラス担任時はクラスリーダーを経験。子ども達が楽しく過ごせるよう心掛けて日々の保育に努める。出産を機に退職し、現在は3歳のやんちゃな娘を家庭保育しながらWEBライターをしている。趣味はランニング、登山、編み物【保有資格】保育士、ベビーマッサージインストラクター、ベビーヨガインストラクター、食育アドバイザー
- 調査対象:保育士資格保有者
- 調査日:2023年2月8日〜2023年2月14日
- 調査方法:インターネットによるアンケート取得
- 調査人数:100名(男性5名、女性95名)
- 調査年代:20代33名 / 30代56名 / 40代11名
保育士の仕事で大変なこと・辛いことランキング【保育士100名へ調査】
保育士の仕事で大変なこと・辛いことランキング1位:給料面
保育士の仕事で大変なこと・辛いことの1位は給料面と100人中73名の回答がありました。
実際にアンケート取得した際の具体的なコメントもいくつか紹介します。
責任は増えていくのに、お給料には反映されない
お給料がとても少ない。企業型で働いていたが、責任は増えていくのに、お給料には反映されず。また、夕方などになると、保育者の人数が必然的に減り、一人でみる子どもの人数が多かった。また、どんなに頑張っても、書類作成の時間をとることが難しく、休日に自宅で考えたり、残業して行うことも多かった。
給料が見合わない
給料が見合ってないというのはずっと思っています。 自分が働いている園は残業代がつくので、まだ良い方だとは理解していますが、それにしても手取り16万で満足な生活はできないと感じています。日々のストレスの発散を土日にするにしても自分のやりたいことは出来ずにイライラしたり、病院に行くにしてもお金がかかるので、そこでもケチってしまったりと金銭面的にも余裕がない分、生活にも余裕がなく、なかなか心が休められずこのままでは体調を崩してしまうと感じています。
ほぼ毎日サービス残業でとても辛い
労働時間が長く、ほぼ毎日サービス残業でとても辛いです。子どもと接するのはすごく楽しいし、やりがいを感じるけれど毎日12時間程、園に縛り付けられている感じがしてしまって辛いと感じます。残業代がきっちり出るのであれば文句はないのですが、月に4時間分のみの残業代しか支払われないので、シフト時間をすぎると「またか」と落胆します。また、上司が気分屋過ぎて毎日ハラハラしています。前回は良くても、その日に機嫌が悪いとダメ扱いになってしまいます。結構ストレスです。
保育士の仕事で大変なこと・辛いことランキング2位:職場の人間関係
保育士の仕事で大変なこと・辛いことの2位は職場の人間関係で100人中70名の回答がありました。
保育士は女性が多いので、陰口が多い
保育士は女性が多く、女性ならではの陰口の多さも正直目立ちます。誰かの悪口を聞くのも嫌ですし、空気を悪くするようなお局と同じ日に勤務した時にはこちらの気持ちも下がってしまいす。何も問題のない職場はないかもしれませんが、やはり人間関係で悩む保育士は周りに山ほどいます。また、子供たちへの対応が難しいのも一つの大変なこと。少し強めに叱るだけでも今は虐待だとか言われてしまうこともあるので、言葉一つにしても丁寧にしなければならないという意識を持つために結構大変だったりします。
女社会なのである程度きついイメージはしていたが、とても耐えられる環境ではなかった
大学生の頃ボランティアで保育園に通っていた時には気付かなかったのですが、3人組で新人の先生をいじめる中堅の先生達がいてとても辛かった。女社会なのである程度きついイメージはしていたが、とても耐えられる環境ではなかった。仕事自体にやりがいがあったので職場の人間関係などで辞めたくはなかったが、労働時間拘束時間が長い上に人間関係がよくないと精神的にとてもしんどくなり辞めるしか選択肢がなかった。あの先生達がいなければ今も同じ園で続けていたのかなと思うと辛くなる。
保育士の仕事で大変なこと・辛いことランキング3位:書類作成
書類作成・書類処理で残業や休日出勤がよくあった
子どもとの関わりはとても楽しくやりがいをたくさん感じていましたが、特に仕事面で大変だったのは様々な書類作成です。日中のほとんどは子どもたちと接しているため、書類処理ができるのが子どもたちの降園後しかないため、残業や休日出勤はよくありました。子どもとのやり取りは体力的にも大変なところがあるので、そのあとの書類処理は余計に大変でした。また給与面でも安く感じることがあり、怪我をしないように、命の危険がないようにと神経を使うなか、給与が見合っていないと感じることが多々ありました。今では、結婚・引越しを機に保育士をやめ、事務職として働いていますが、育児もしている今、また保育士として再就職することは体力的にも金銭的にも難しく思います。
4位以下の通りです。
4位:保護者対応(62名)
5位:行事の準備(57名)
6位:労働時間が長い(49名)
7位:プライベートとの両立(43名)
8位:休みが少ない(32名)
9位:子どもとのやり取り(27名)
10位:その他(5名)
9位”子どもとのやり取り”については27票が入っていますが、子どもとのコミュニケーション自体のストレスというよりも子どもを怪我させてしまったり、叱ったことによる保護者からのクレームに対するプレッシャーが反映されているように感じました。
仕事の責任が大きい、保育士は「子どもと遊んでいるだけ」ではない仕事
命を預かることに対する責任は非常に大きなものです。毎日無事にお子様を保護者の方に引き継げるときだけでなく、保育園でのトラブルやけがなどのネガティブな報告をすることもあります。そこに対する責任は非常に大きいので、報告の程度によっては保護者の方からきつい言葉を投げかけられることもあります。そんな仕事の責任に対する給料も見合っていません。世間からは「子どもと遊んでるだけ」と思われることもある職業ですが、非常に専門性の高い職業です。理解を得られず仕事に見合った収入が得られないのはとてもつらいです。
ちなみに、その他(5票)については「体力が相当要る」「子どもが怪我をしてしまった」「コロナに関する体調管理が大変」といった回答となっていました。
保育士経験者 仲原秋穂さんのコメント
このランキングで他と大きく差をつけて圧倒的に多かったのは「給与面」、次いで「職場の人間関係」という結果になりましたが多くの保育士は共感できる調査結果ではないでしょうか。
給与面に関してはここ数年世間でも取り上げられており、世の中にも広く浸透している事実といえます。また、職場の人間関係については、保育士の男女比は圧倒的に女性が多く、そのために女性社会になりがちです。さらには保育士は子どもだけでなく、保護者や地域との良好な関係を築くことも大切な仕事であるため、日頃から精神的にストレスを感じやすい職業ともいえます。よって職員同士でそのもやもやした気持ちをぶつけてしまったり、立場が上の保育士が立場が下の保育士にきつくあたってしまう場面が見られるのも事実です。
3位の「書類作成」ですが、保育士は子どもをみるだけが仕事ではなく、児童票やおたよりなどの書類関係の業務も多いです。勤務時間中は子どもをみるため、どうしても書類系は残業や持ち帰って家でこなす場合が多くなりがちです。
保育士仕事でのやりがいランキング【保育士100名へ調査】
保育士の仕事のやりがい1位:子どもの成長を感じた時
保育士の仕事のやりがいの1位は”子どもの成長を感じた時“と100人中95名の回答がありました。
子どもの成長を実感出来るのはとても貴重な経験
入園当初は寝返りもできない赤ちゃんが、日に日にお座りができ、つかまり立ちができ、歩けるようになり、喋れるようになり、その成長段階を側で見守ることで、その子の成長を実感することが出来るのは、とても貴重な経験だと思っています。初めは心を開いてくれなかった子も、日々関わっていく中でだんだんと心を開いてくれるようになり、一緒に遊ぼうと誘ってくれた日には感動で胸が熱くなりました。保護者からの感謝の言葉もとても有難いし励みになります。
様々な『初めて学ぶこと』が提供できることにやりがいを感じる
『その子が大人になって覚えていなくても、生涯にわたる基礎的な部分を育てていけること』が仕事をしていて一番やりがいを感じていました。例えば、箸の持ち方を誰が教えてくれたか覚えている人は少ないと思います。園と家庭で連携し見ていくことが望ましいですが、保育園で過ごす時間が長いことから保育士から学ぶケースが多いです。他にもトイレでの排尿・排泄の仕方や着替えの仕方、お皿に料理を盛り付けることなど様々な『初めて学ぶこと』が提供できることにやりがいを感じています。
保育士の仕事のやりがい2位:子どもの笑顔見ている時
保育士の仕事の一番のやりがいは、子どもたちの笑顔
保育士の仕事の一番のやりがいは、子どもたちの笑顔が見れることです。お友達とのトラブルがあったり、しかられたりして泣くこともありますが、遊んでいる時、楽しいことをしている時に笑顔が見れるとこちらまで嬉しくなります。「先生、大好き~」と笑顔で駆け寄ってくれる時は保育士をしていて良かったと思います。また、日々の生活で出来なかったことが出来るようになったり、運動会や発表会などで成長が見られると、今まで保育をしてきて良かったと思います。
子ども達の笑顔で頑張れる
1年目は覚えることが多く、慣れない持ち帰りの仕事もあり、大変だなと思っていましたが、毎日子ども達の笑顔がみることができそれで頑張れることが出来ていました。 子供達の吸収力の早さや、1年間での成長した姿を見ることが間近でみることができそこにやりがいを感じています。また、先生だから安心してお願いできますや来年も先生だったらいいのにーと言っていただける保護者の方もおり感謝されたりするので、頑張ってきてよかったなーと思えています。
保育士の仕事のやりがい3位:保護者から感謝された時
保護者にありがとうと言われると頑張って良かったなと思える
保護者の悩みを聞き、解決策を提案できたときや、自分でした対応により、子どもが良い方向に成長できたとき、やりがいを感じました。保護者にありがとうと言われる時、大変だったけど、頑張って良かったなと思うことが多かったです。また、大きな行事を職員同士で協力し合ってやり遂げた時、やりがいを感じました。自分の勤務する保育園を、保護者に褒めてもらえることも多く、環境にも恵まれているので、楽しいと感じることも多い日々です。
4位以下の通りです。
4位:子どもが懐いてくれたと感じた時(64名)
5位:行事・イベントが上手く行った時(50名)
6位:自分自身の成長を感じた時(46名)
7位:上司や同僚に褒められた時(22名)
8位:責任ある仕事を任された時(17名)
9位:給料が上がった時(15名)
10位:その他(1名)
保育士経験者 仲原秋穂さんのコメント
このアンケート結果によると、保育士のほとんどが「子どもの成長を感じた時」にやりがいを感じていることがわかりました。
子どもの成長は著しいです。毎日子どもと接していると、昨日までできなかったことができるようになる場面に数多く出会います。また、だんだんとできるようになっていく過程を目の前で見ているため、できたときの感動は子どもだけでなく保育士にとってもひとしおです。これは特に乳児が顕著ですが、幼児でも「折り紙で難しいものを折れた!」「ひらがなで自分の名前が書けるようになった!」「逆上がりができるようになった!」といった子どもの成長を日々感じられるのが大きな魅力です。
保育士は子どもの命を守り、生きていくための必要な生活習慣や知識などを教えていますが、その他にも書類を書いたり掃除をしたりと仕事はさまざまです。心が折れそうになることがあっても、子どもたちのキラキラした笑顔が頑張る源になっている保育士が多いことがわかりますね。
【保育士100人に聞く】保育士になって良かったですか?
保育士経験者 仲原秋穂さんのコメント
保育士は「子どもが好き」という気持ちからなる人がほとんどですが、いざ就職してみるとその仕事量の多さや、子どもに直接関わりのない仕事の範囲の広さに驚く人が多いのも事実です。
例えば、保育士は子どもの命を守りながら一緒に遊んだり、製作をしたりして生活を共にするのは前提として、それに加えて職員会議、施設内の清掃、保護者宛のおたよりの作成、カリキュラムの作成、保護者のケア、畑作業、小学校や保健センター、療育施設との定期的な話し合い、行事の準備…など書ききれないほどです。
仕事量と給与が見合っていないことで保育士を離れる人が多い現実ですが、自分が担当した制作物が行事で子どもや保護者から好評だったのを見聞きしたときや、上司に自分の仕事ぶりを認めてもらったり、保護者から感謝の言葉をもらった時など、すべて子どものためにと思ってやったことでも、大人からの良い評価を受けたときに「保育士をしていてよかった」と感じることが多いと言えます。
本アンケート調査回答者属性
アンケート回答者の性別
アンケート回答者の性別は、女性95名、男性5名となっています。
これは厚生労働省の調査「保育士の現状と主な取組(令和2年8月24日)」における保育施設の性別構成割合である女性95.8%、男性4.0%にかなり近くなっています。
アンケート回答者の年代
本アンケート回答者の年代はそれぞれ、20代33名、30代56名、40代11名となっており、50代以上は回答者0でした。
ちなみにですが、年齢別では32歳、34歳、35歳がそれぞれ9名で一番多く、30歳7名がそれに次いで多くなっています。
アンケート調査概要
- 調査対象:保育士資格保有者
- 調査日:2023年2月8日〜2023年2月14日
- 調査方法:インターネットによるアンケート取得
- 調査人数:100名(男性5名、女性95名)
- 調査年代:20代33名 / 30代56名 / 40代11名